みなさんこんにちは、MUSAKOドラム教室の茂木草馬です。
そろそろ梅雨入りしそうな東京。
そんな5月は結構忙しくしておりました。(まだ1週間あるけど)
久々のリハトラ
さて、私の師匠は則竹裕之 先生なのですが、私が音楽大学の学生だった頃は四年間、
週に一回のペースでレッスンをしていただいていました。
今思えば本当に恵まれた環境でしたね。
卒業し、もちろん在学時よりはお会いできるペースもぐっと落ちます。
年間に数回先生の現場を見て勉強させていただき、
本番終了後に近況報告やその日の本番についてお話しさせていただく。
そんな数年間が過ぎていました。
ただ幸いなことに卒業した年に先生に、今度リハトラをやってくれないか、とのご連絡をいただきました。
リハトラとは、ご本人に代わってリハーサルを行うお仕事です。
リハトラを立てるミュージシャンは一様に売れっ子でスケジュールの確保が難しいと言われています。
そんな時にリハーサルに穴を開けないよう、代わりのプレイヤーを立てるわけですね。
こんな経験は二度とないと思い、何も考えずに二つ返事でお引き受けするのですが、、
卒業して一年も経たないうちに任された大役。
当時まだプロとしての経験も殆どなく、
師匠がご一緒するようなプレイヤーに囲まれての演奏は想像しただけで具合が悪くなっていました(笑)
何より則竹先生の代理です、というプレッシャーは本当にえげつないものです。
更に向かい風なことにプロの現場では、当日さらう譜面や音の資料は本当に直前にもらう事が多いです。
1週間前であれば万々歳で、大抵は3日、2日前ぐらいになるイメージです。
特に先生のプレイされるジャンルやレベルは日本でもトップクラスに難易度の高い現場ばかりで、
到底再現などできないのですがとにかく迷惑だけはかけられない。。。
という事で準備できることが具体的に明らかになる前は、自分で編成や方向性を調べたり、
リハトラでお邪魔する現場の過去の映像があれば見たり。
そして資料が届き次第スタジオにこもって勉強するわけですね。
自分の過去の経験上、このお仕事に向かいあっている時間が最も自分を成長させてくれています。
曲や構成を理解し、勉強をする。限られた時間しかないので集中も半端ではありません。
全く慣れない
そんな中で初めてのリハトラのお仕事を終えて、先生に連絡した時の安堵感というか、ちょっとした達成感は今でも鮮明に覚えています。
そしてその数日後に僕がリハトラをさせていただいた現場の本番を観る事で、より成長できるという流れです。
あんなに自分は苦戦したのに軽々やってのける先生のプレイに感動し、刺激をもらうのです。
自分の答案用紙に回答をもらっているような感覚でした。
とても贅沢なお話です。
それから何度かリハトラを経験させていただいているのですが、本当に全く慣れない!!
慣れるような物ではないことも理解しているのですが、
やっぱりプレッシャーとの戦いは楽しめたもんではないですね。
ただその分先程も書きましたが、成長できる機会だし、何より光栄なことです。
実は先日も久しぶりにご連絡をいただいて、某テレビ収録用のリハトラとデモのRECをさせていただいたのですが、
何年経っても、いろんな経験をしても、慣れることはないんだなと思いました。
特に今回はベーシストに納浩一さんという私の演奏しているジャンルの頂点のお方とお手合わせできるということで、
嬉しさとプレッシャーがこれまたえげつなかった。。
一緒に曲に対する感想やアレンジを出し合ったり、直接アドバイスをいただいたり、
こんな貴重な機会は滅多にある事ではないです。
超一流の方と音を出すとわかることってたくさんあるんです。
講師もやりながら、演奏活動もしながら、
こんな機会をいただいてお仕事をさせてもらえていることに感謝しています。
経験の全てがその人である
これは自分が日頃から思っている事で、かつ心掛けていると言ってもいいのですが、
結局ミュージシャンや音楽講師の世界って、一般社会と比べたらとてつもなく狭い世界だと思うんです。
だからこそ、その狭い世界の中でいかにいろんな経験ができるか。
そしてその経験を音に変えられるか。生徒さんに伝えられるか。
百戦錬磨でいろんな現場を経験してきている方の音って凄まじいです。
いろんな経験をしてきている講師の言葉やプレイにも重みがあります。
これからも演奏のみならず、講師のみならず、様々な角度から音楽を見て行きたいと思います。